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研究内容

医看工芸連携における共創型知的財産マインド養成プログラムの開発
-J-PlatPatとミエルカノートの活用

1. 背景と目的:医看工芸連携における知的財産マインド養成の必要性

具体化したアイデアを製品化する場合、必ず特許や意匠、商標、著作権といった知的財産権が関わってくることになる。誰が関与したのか、どんな役割を果たしたのかということを把握しておく必要がある。医看工芸連携活動での「デザイン」とは、「見た目を良くする」という意味ではなく、何らかの問題を解決するために、企画・提案し、実施するものである。
医療機器開発は、従来から医療現場の改善活動は活発に行なわれており、具体的な課題解決のアイデアは多く出ているが、現場では日々の改善活動が中心で、なかなかニーズ提供者が製品化に関与するまでには至らない。また、医師、看護師などの医療・介護従事者、工学研究者、技術者、デザイナーの知的財産についての意識も差があるようである。このような状況で、良いアイデアが生まれたとしても、その成果である知的財産を正しく認識することができない恐れがある。そこで、異なる専門分野であっても知的財産マインドが、共通の価値観としてコミュニケーションを助け、円滑な製品・サービスの開発による新たなイノベーションの可能性となることを期して、研究開発のプロセスに沿った実践的な知的財産マインドを養成していく必要がある。

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2. 具体的内容:医看工芸連携活動に対する効果的な知的財産教育手法の開発

①教養教育としての基礎的な知的財産教育

 社会人や学生の教養教育としての基礎的な知的財産教育、さらには、開発者・技術者・デザイナーとして、実際の機器開発で知的財産知識を運用・活用できる能力を身につけることができる実践型教育の開発を目指す。

②中小企業等への知的財産に関するリカレント教育の開発

地域の中小企業を対象としたリカレント教育への活用も想定し、中小企業経営者をはじめ従業者が学びやすい知的財産教育を提供し、事業化現場で役立つケーススタディ知財教材を開発する。そして、現在の医工連携のさらに進んだ機器・用品開発分野の新規創造や伴走人材の育成を目指し、大学と地域企業の知的財産の強化を目指す。

 

③開発プロセスを意識した知的財産教育

医療・福祉・介護現場のニーズ(課題)を解決するためのシーズとのマッチングを行うということは、その成果を実用化、すなわち製品化するということである。企業が製品化をする場合には市場で独占的に製品を販売できることが前提であり、そのためには特許、意匠など何らかの知的財産権で保護されていることが必要で、権利化のためには関係者が新規性を失わないように秘密保持を意識し続ける必要がある。本研究では実践的に経験することにより秘密保持活動についての基本を習得するプログラムを予定している。

 

④研究実施体制

3. 令和3年度実施内容

①ワークショッププログラムの検討、ワークショップ準備
特許・意匠情報には先人の知恵がある。その情報を検索から気づく力を養うこと、また、医療従事者と技術者をつなぐ架け橋としてデザイナーのもつ可視化、具現化する力に着目して、現場ニーズ等の社会環境が求めることに対して、問題の発見解決アプローチを取り入れたプログラムを検討する。
【項目例】
・産業財産権(特に意匠権)と著作権の違い、知的財産と知的財産権
・特許、実用新案における共同発明(考案)と、共同発明者の定義
・秘密保持とはなにか
・J-PlatPatを用いた知的財産情報検索(特許・意匠)
・アイデア創出の可視化と記録:ミエルカノートの活用について
・具体的なデザイン例と保護の方法(知的財産権、創作者の名誉保護、創作時の証明方法など)
・現場ニーズと知的財産権の関係

アイデア創出シート

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ミエルカノート

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②ものづくりワークショップの実施と検証
「対話・共感・観察」から生まれるアイデア発想力を引き出す創造性教育と実践的な創造から生まれる知的創作物への知的財産教育により知的財産マインドを高めるプログラムとして効果的であるかの検証を行う(大阪、大分での開催を予定)。

 

③成果のとりまとめ
これまでの成果をとりまとめ、知的財産情報を活用することやアイデアを可視化することの重要性について、知財学会の発表や学術論文などで公表するとともに、医看工芸連携活動の促進と知的財産マインドを高める啓発活動に取り組む。
 

4. 本活動の特色と効果など

本研究の特色は、単に知的財産制度を学ぶのではなく、知的財産情報の検索方法を身につけ、当事者意識をもって、そのプロセスを可視化するという一連の手法を身につけることにある。対象者は学生から社会人(中小企業経営者、医療従事者、研究開発者、デザイナー)を想定し、医療機器開発に関与する医療・看護・工学・芸術分野の横断的な連携とその知的財産知識の共有、さらには製品開発戦略としての運用・活用が期待できる。
また、申請者らは、特許庁の知的財産教材開発事業(理工系学生向けの知財講座、デザイナーが身につけておくべき知財の基本)や官庁の諮問委員に従事した経験等がある有識者や医療従事者、デザイナーを含む研究体制で、これまでも共同で医看工芸連携活動の推進や教職員等への知的財産情報研修プログラムの開発に取り組んできた実績がある。そのため医療・看護・工学・芸術分野による知的財産創出についての問題意識を把握しており、採択された場合には、すぐに必要な研究を開始することができる。
以上のことから、知的財産情報検索を身につけ、当事者意識をもって、そのプロセスを可視化するという一連の手法を広く社会に拡充し、わが国の新しい産業発展の一助となることを目指している。